ディスカバリー・モーメント discovery moment
三浦雄一郎
Q1.ひらめいた瞬間について
1964年ごろのことです。私は新幹線で東京から大阪に向かっていました。三島のあたりで、窓から真っ白な富士山が見えました。滑らかで美しい斜面を見て、私は「あの斜面をスキーでまっすぐ滑り降りよう」と思ったんです。
しかし、滑るのはいいけれど、どうやって止まるか。そこで、「パラシュートだ」と思いつきました。
それまでにそんなことをした人はいませんから、突拍子もない思いつきに見えたでしょうね。膨らんだパラシュートを後ろになびかせながら富士山の斜面を滑り降りる……、まるでマンガみたいな話でした。でも、この試みは数年後に成功し、後のエベレスト直滑降にもつながりました。
この富士山直滑降の映像は、ニューヨーク、パリなど、世界中のテレビで流れました。「ニホンのフジヤマを、パラシュートをつけてスキーで滑り降りてる変なヤツがいるぞ」というニュースとして(笑)。驚くことに、この映像が、「パラグライダー」を開発するきっかけになった。これが私の「発見の瞬間」ですね。
Q2.過去に戻れたら会いたい人は?
とても、ひとりには決められないですね……。会いたいと思う人はたくさんいます。あらゆる「伝説的な人」に会いたい。「神様」とも呼ばれるような人にも。たとえば、イエス・キリスト、あるいはモハメッドにも会って話をしてみたいですね。
Q3.100年後の世界に行けたら?
100年後の地球、人類、生き物がどうなっているか――それにいちばん関心がありますね。地球がこれ以上破壊されることなく、逆に、再生されていれば嬉しいです。水や空気などは簡単に手に入れられるように見えるけれど、私が挑戦している高山はそれらがない、生き物が生きていけない厳しい環境ですから、水や空気や森がいかに貴重なものであるか、しみじみ感じます。
100年後、人類がもっと賢くなって、地球がもっと緑になって、すばらしい未来が築かれていてくれたら……と思いますね。
Q4.ディスカバリーの番組で印象に残っているものは?
私は海も好きなんですよ。クストー(伝説的なダイバー。スキューバの発明者)は南緯64度で潜っていますが、私は66度まで行って潜ったことがあるんです。ディスカバリーで南極の海の番組が放映されたときは、その世界をまた見られて嬉しかったですね。
ディスカバリー・チャンネルは、地球のマクロからミクロまで、あらゆるものを拡大して見せてくれる、すばらしいチャンネルだと思いますね。
構成・文 江口絵理
